想望手記

小学5年生で統合失調症を発症しました。このブログでは症状や体験談に加えて、精神障害者の生活をリアルタイムに発信しています。記事の内容が誰かの役にたってくれたら嬉しいです。

想望手記

無題

両足は浮いたように、地面を捉えられなくて、 またいつもの、この時期が来て、雨が降り続いています。 ☘︎ 統合失調症|記事一覧 ▲ Home page

ありがとうって伝えたい

小学校の頃の帰り道、私はよく怒られていました。禁止されていた寄り道や、買い食いをして見つかることが多くありました。田舎町故か、地域の目というのが厳しくて、その地域の大人全体で、子供たちを育てていくといった方針だったようです。 学校で先生に怒…

特技は掃除と自信を持って

私は掃除が大好きです。それは、部屋のホコリを取る掃除から始まり、トイレ掃除をして、お風呂掃除をして、窓の拭き掃除まで終わると、また部屋のホコリが気になったりして、放っておくと、いつまでも掃除をしているくらいには大好きなのです。 しかし、掃除…

秒針が壊れるその日まで

私は、統合失調症を発症してから投薬開始までの記憶がほとんどありません。このブログの体験記に書いてある所々の出来事は、わずかながらに覚えていましたが、薬を飲み始めるまでの20年間の出来事が、A4用紙一枚程度で書けるくらいしか思い出せないのです。 …

じゅうじゅうにしてあること

幾何学を"いくなんがく"と読み、認印を"にんにん"と読んでいた私も、今では大分漢字が読めるようになってきました(このだいぶという漢字が、"おおいた"と被ってしまい、不安になる気持ちを理解できる方はいらっしゃいますでしょうか……)。 私は、社会と繋が…

はじめてのおつかいは虐待ではなく

『はじめてのおつかい』という番組をご存知でしょうか。私が熱心にテレビを見ていた頃(90年代)の人気番組で、今でも放送されているのかはわかないのですが、当時、この番組を見ながらよく涙がほろりとしていました。挑戦する子供は素晴らしいのだと、その…

ズレていることの悲しさ

自分が不利になるのは構わないのです。しかし、誰かのそういう場面を目撃してしまうと、私はひどく苦しくなってしまいます。なので、極力そういったことに遭遇をしないように、最新の注意を払っているのですが、偶然の前には為す術がないのでした。 チームワ…

結局どういう話なんですか

初めて行った観光地で、お昼ご飯を食べた時のことです。私はその日、年下の知り合い(以下、A君)と観光地に来ていました。数日前、どうしても行ってみたいから良ければ連れて行ってほしいとA君に頼まれて、私もその場所には少し興味がありましたので、今週…

ウォーキング中の挨拶は

アスファルト舗装のウォーキングコースを歩いていたら、「あんた! 聞こえとるんかね!」と怒号が聞こえました。私はその時、オーディオブックを聴いていたのですが、その音声を突き抜けるくらいの大声でした。なんだろうと思いながら顔を上げてみると、目の…

ハイカラさんが凍りつく

一昔前にタピオカが流行った頃、私はそのよくわからない飲み物に、全くといっていいほど興味を持ちませんでした。何か黒いものがつぶつぶしているし、あのようなハイカラ且つ未知なるものは、女学生やらが飲んで楽しむものであり、私にはこの古女房のような…

障害者のコミュニティスペース

自らの命を断とうと思ったことはありますか? 少し前に、そのような質問をされたことがあります。質問者は私と同じ精神障害者の方で、とあるチャットコミュニティ内での会話でした。 思い返してみると、私はこれまで、自分の体を傷つけたことがありませんで…

言霊の大切さ

今日は、朝から農業に精を出していました。温かい土の感触や、秋風の香りに癒やされながら、この冬の間に育てる野菜の下準備をしました。畑に鍬(くわ)を入れて、土を耕す作業を続けていると、頭がふっと真っ白になる時もありますが、収穫祭のことを考える…

深淵をもつスマホ

「もし私が突然死したら、このスマホを叩き割ってほしい」と、真剣な顔で言う婦人の遺言を預かった午後、あのスマホの中には一体、どのような深淵が住んでいるのだろうと震え上っていました。 婦人の最期の時、もし私がスマホを手にしたのなら、「うぅ……これ…

屋根のなかった家で

当時、引きこもりだった私は、15歳の時に上京しました。小学5年生から不登校になり、それからずっと家の外には一歩も出ていなかったのに、私はこの日、テレビでしか見たことのない都会を目指して、初めて乗る電車に揺られていました。 上京した理由をよく覚…

私たちの魂の行方

先日、何気なくクリックした他記事の後半で、同じ統合失調症である青葉真司被告(京都アニメーション放火殺人事件の被告人。以下被告)について書かれているものを目にしました。その記事は、裁判の様子や被告の生い立ちついて詳しく書かれていました。 被告…

忘れないで居てくれるなら

インターネットサーフィンをしていると、稀にタイムスリップしたようなウェブサイトに辿り着くことがあります。それは、装飾のないシンプルなデザインで、画像などはほとんど使用されていません。そのようなテキストで埋め尽くされたホームページを見つける…

天上の海の下で

秋の日の午後。窓際の椅子に腰を下ろして、続きを待っている本を開きました。 こうして至福を感じながら、陶酔の時を過ごせるのは、私が今、私らしく在るからでしょう。誰の意思もなく、誰も意識せずに、景色の一部になっているからです。それにたどり着くま…

書籍も棲み分けの時代

アマゾンのサービスで、キンドルというものがあります。所謂、電子書籍なるものをオンラインで購入して、それがインターネット上に保管できて、パソコンからでもスマートフォンからでも、いつ何処にいてもアクセスして読めるのだという、とても便利なサービ…

もしかしたらあの人が

私の住んでいる町には、町内放送があります。それは役場からのお知らせだったり、公民館からのお知らせだったりするのですが、町内で起こった事件の詳細も教えてくれるのです。 例えば、「今はこういう詐欺事件があるから、皆さん気をつけましょうね」等、何…

蜻蛉に寄す - 中原中也|詩の解説

www.youtube.com やっと通り過ぎた夏を思い出すようで、それはひどく晴れた秋の日のことでした。斜陽を迎えた野原に佇んでいると、蜻蛉が一匹やってきて、その羽が黄金色に光って見えたりもして、私は眩しさに目を細めながら、あの工場で働いている人達を想…

嘘つきと呼ばれても

公園の遊歩道を歩いていると、ふと蝉の声が聞こえました。私は驚いて辺りを見渡すのだけど、蝉なんて何処にも居ないし、少し肌寒い風が、夏の終わりを教えてくれるだけでありました。 家族で連れ立って、幸せそうに散歩している様子を眺めていると、散り散り…

白ごはんオムライス

先日、とある中華料理店で天津飯(てんしんはん)をいただきました。よく知っている味の油淋鶏(ゆーりんちー)を食べようとして入店したものの、メニューの中にちらりと見えている、控えめにプリントされた天津飯に、何故か心惹かれてしまい、たまには冒険…

自分らしく在ること

私が洗車をすると、高確率で雨が降ってきます。それはどれだけ晴れている日に車を洗っても、待ってましたと言わんばかりに、雨雲たちは押し寄せてくるのです。 この話を誰かにすると、「洗車日を事前に教えて」と脅されるのですが、私は今まで、自分が洗車す…

木陰 - 中原中也|詩の解説

www.youtube.com 中原中也さんの詩、山羊の歌より"木陰"を朗読しました。この詩は、後悔が主題です。ひとり木陰に腰を下ろして、中也さんがぼんやりと考えているのは、どれも過去の出来事ばかりでした。あの時、こうしていればよかったなとか、疎遠になった…

山あり谷あり弁当

お昼ご飯をもぐもぐしながら、今日の夜ご飯にお弁当を食べようと決心した私は、帰り道に某所に寄って、幕の内弁当を購入しました。家に帰ると、それを電子レンジで適度に温めて、インスタントのお味噌汁と納豆を準備して、全身全霊のいただきますをしたので…

横書きで読みたい人もいる

わたくし、文学作品は縦書きしか認めていませんの。横書きの文学なんてナンセンスですわ。みたいな人がいたら、私はその方から少しずつ、フェードアウトしたい衝動に駆られます。多様性を求められる今の時代、何でもかんでも認めてしまえとも思わないのです…

変わらない買い物

私のお気に入りの商店街には、多くのお店が連なっています。豆腐屋さん、八百屋さん、雑貨屋さん、洋服屋さん、電気屋さん、それはもう選り取り見取りなのですが、どのお店も営業していないので、シャッターに書かれている文字や、古びた看板でしか確認出来…

読書感想文が書けなくて

私はプロフィールに書いてある通り、本を読むことが趣味です。いつも何かに栞を挟んでいます。これといったジャンル決めはなく、面白そうと感じた本は何でも読みます。なので、今まで読んだ本の感想等を記事にしてみようかなと、思うこともあったのですが、…

不器用とロマンス

飲み会の席でこんなやり取りがありました。何かの会話の流れで、「私は香水を一切つけないのです」という話になった時に、「私もつけなくなったんだよね」という奥様がおられました。私は興味本位で、何故香水の使用をやめてしまったのかと問いました。 する…

命を憂う資格

ちょうど、一週間前のことでした。夜中にカタカタとキーボードを叩いていたら、五百円玉くらいの大きさの蜘蛛と目が合いました。やけに足の長いその蜘蛛は、私の熱い視線に動じることなく、のんびりと机を横断し始めました。 私は思わず手を止めて、しばらく…