想望手記

近代詩の朗読と詩の解説。中原中也さん等。

想望手記

北の海 - 中原中也|詩の解説

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 中原中也さんの詩集、在りし日の歌より"北の海"を朗読しました。私はこの詩から『両親へのやりきれない気持ち』を感じています。北の海とは、長男としての厳しい教育のことであり、空を呪うのは文学に没頭することでしょうか。そのように読み解きました。

 

 中也さんの母は、「母さんは作家とか詩人が嫌いよ。ああいったものだとご飯が食べられないからね」と言い、父も同じように「絶対にそんなもんにはさせん」と言っていたそうです。とても悲しい響きを持った愛情ですよね。それでも中也さんは己の才能を信じて、己を貫いた人なので、人一倍と思い悩むことが多かったのだと思いました。

 

 最後まで読んでくれてありがとうございました。心を込めて朗読しました。よければきいてください。それでは又。

 

きたうみ

 

うみにゐるのは、

あれは人魚にんぎょではないのです。

うみにゐるのは、

あれは、なみばかり。

 

くもつた北海ほっかいそらした

なみはところどころをむいて、

そらのろつてゐるのです。

いつはてるともれないのろい

 

うみにゐるのは、

あれは人魚にんぎょではないのです。

うみにゐるのは、

あれは、なみばかり。

 

りしうたより