中原中也さんの詩、山羊の歌より"木陰"を朗読しました。この詩は、後悔が主題です。ひとり木陰に腰を下ろして、中也さんがぼんやりと考えているのは、どれも過去の出来事ばかりでした。あの時、こうしていればよかったなとか、疎遠になった人ともっとお話がしたかったなとか、そのようなことが浮かんでくるのでした。
からっと晴れた夏の空を見ていると、楡の葉が小さく揺れる音を聴いていると、私は今、生命溢れるこの世界に生きているのだと感じる。しかし、今よりも過去を生きたいと願う私は、一体いつから喪心してしまったのだろうか。未来へ進めば進むほど、疲労ばかりが積もっていくのだ。
人様は、過ぎたことは忘れろと言うが、私はどうにも、忘れない為に詩を書いている気がする。そして、後悔するのだ。何度も、何度も後悔しながら惨めに生きている。誰も、この心中を理解する者はおらず、私はただ、この木陰のように、静かに過ごしたかっただけなのに、どうして私はいつも、自ら太陽の下へ出て焼かれたのだろうか。私は此処でいい。此処がいいのだ。木陰よ、この後悔をいつまでも宥めてくれ。
という読み解きをしました。私、中也さんの詩が全部理解できますといえば、そんなことは全くもってないのですが、少なくとも私が、中也さんの詩集を開く時は、何かのメッセージが込められていると確信して読んでいるのです。それをゆっくりと感じながら、中也さんの詩に心を傾けています。同じ詩の内容でも、読み手によって解釈の違いは当たり前にありますので、貴方は貴方の読み解きをしてみてください。
最後まで読んでくれてありがとうございました。久しぶりの録音で、とっても緊張しましたが、心を込めて朗読しましたので、よければきいてください。朗読の評価やコメント、いつもありがとうございます。励みになります。それでは又。
やがて
やがて
かくて