高村光太郎さんの"あどけない話"を朗読しました。智恵子抄の中でも特に印象深い詩です。絶対的な愛というのは時代を問わずに存在するものだと私は思っています。光太郎さんの悲しみや戸惑い、智恵子さんの天使のようなあどけなさも、その一切は悠久に色褪せることはないのです。
「東京には空がないの」と呟いた智恵子さんは、阿多多羅山(安達太良山)のある郷里の空を見上げていました。それに気づいた光太郎さんは同じ空を見ていないことに驚きました。光太郎さんはきっと胸が押し潰されるような気持ちで智恵子さんと同じ空を見ていたのだと思います。
今回の朗読はいつになく緊張しました。マイクに向かって朗読し始めたのは良いものの、声が震えてしまって最初はなかなか上手くいきませんでした。そうして何度か繰り返している内にこみ上げてくる哀情に耐えきれなりそうでした。想いを込めて大切に朗読しました。お伝えできれば幸いです。よろしければきいてください。最後まで読んでくれてありがとうございました。それではまた。
ほんとの
むかしなじみのきれいな
どんよりけむる
うすもも
あどけない