中原中也さんの名詩、"汚れつちまつた悲しみに……"を朗読しました。朗読の勉強を始めた頃から、中也さんの詩を公に朗読してみたかったのですが、なかなか勇気が出ませんでした。大変恐れ多くて、戸惑っていたのです。
私は、この詩に込められた想いを歳を重ねるごとに深く感じています。中也さんにとって生きるということは、どれだけの勇気を要したのでしょうか。
中也さんの短い生涯は、深い悲しみで覆われていました。詩の全文に渡る悲歎のリフレインは、声にならない悲鳴そのものに感じます。人様を知れば知る程、休む間もなく理不尽が押し寄せてきて、それらは勝手にやってきて、いつも勝手に過去のものになっていったのです。それでもどうにか生きていかねばなるまいと、帽子を押さえて、歩き出す中也さんの姿が浮かびました。
私はこのように読み解いて朗読しました。心を込めて、大切に朗読しました。良ければきいてください。最後まで読んでくれてありがとうございました。それでは又。
たとへば狐 の革裘
なにのぞむなくねがふなく
いたいたしくも怖気 づき
なすところもなく日 は暮 れる……