想望手記

近代詩の朗読と詩の解説。中原中也さん等。

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雨ニモマケズ - 宮沢賢治|詩の朗読

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 宮沢賢治さんの"雨ニモマケズ"を朗読しました。原文のカタカナ表記だと読み難いので、現代風にひらがなと漢字で載せてみました。

 この詩を朗読していると、心が洗われるような透き通った気分になります。私はこの雨ニモ負ケズを『いつも誰かを想い、いつも誰かの幸せを願う』と読み解いて朗読しています。

 この詩は、賢治さんが亡くなった後に見つかったもので、遺品である黒い手帳に刻み込まれるように書かれていました。恐らくこの詩を書かれた時、賢治さんは明確な死を覚悟していたのだと思いました。賢治さんは元々、肺病を患っていて、身体は決して丈夫でありませんでした。この詩が書かれた1931年(昭和6年)11月には療養生活を送っていたようです。

 発表などを考えず、ただ一心に綴った言葉の数々は、時代をこえてもなお私達の心に優しく語りかけています。人の一生とは、健康な体があればそれだけで良い気がします。そして、見返りを求めずに誰かを想えば良いのでしょう。濁りのない、真っ直ぐな気持ちで、世界の平和を願い続けるのです。賢治さん、そういうものに私もなれるでしょうか。

 

 最後まで読んでくれてありがとうございました。心を込めて朗読しました。よろしければきいてください。それではまた。

 

アメニモマケズ

 

あめにもけず

かぜにもけず

ゆきにもなつあつさにもけぬ

丈夫じょうぶからだをもち

よく

けっしていからず

いつもしずかにわらっている

一日いちにち玄米四合げんまいしごう

味噌みそすこしの野菜やさい

あらゆることを

自分じぶん勘定かんじょうれずに

よく見聞みききしわかり

そしてわすれず

野原のはらまつはやしかげ

ちいさなかやぶきの小屋こやにいて

ひがし病気びょうき子供こどもあれば

って看病かんびょうしてやり

西にしつかれたははあれば

ってそのいねたば

みなみにそうなひとあれば

ってこわがらなくてもいいと

きた喧嘩けんか訴訟そしょうがあれば

つまらないからやめろと

日照ひでりのときなみだなが

さむさのなつはおろおろある

みんなにでくのぼーとばれ

められもせず

にもされず

そういうものに

わたしはなりたい