想望手記

統合失調症と共に日々を生きていくブログです。中原中也さん他、近代詩の朗読も配信しています。

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竹 - 萩原朔太郎|詩の解説

 萩原朔太郎さんの"竹"を紹介します。この詩は以前記事にした悲しい月夜と同じ詩集『月に吠える』に収められています。竹という真っ直ぐで強く神々しさすら感じる植物に対して、朔太郎さんは何を重ね描いたのでしょうか。青き炎の幻影とは一体どのようなものであるのでしょうか。私はこの詩からも超近代級の絶望を感じました。

 最後まで読んでくれてありがとうございました。それではまた。

 

ひか地面じめんたけえ、

青竹あおたけえ、

地下ちかにはたけえ、

がしだいにほそらみ、

さきより繊毛せんもうえ、

かすかにけぶる繊毛せんもうえ、

かすかにふるえ。

 

かたき地面じめんたけえ、

地上ちじょうにするどくたけえ、

まつしぐらにたけえ、

こおれる節節ふしぶしりんりんと、

青空あおぞらのもとにたけえ、

たけたけたけえ。

 

      ○

 

みよすべてのつみはしるされたり、

されどすべてはわれにあらざりき、

まことにわれにあらはれしは、

かげなきあおほのお幻影げんえいのみ、

ゆきうええさる哀傷あいしょう幽霊ゆうれいのみ、

ああかかるのせつなる懺悔ざんげをもなにかせむ、

すべてはあおきほのほの幻影げんえいのみ。