ついに秋が終わりました。世間ではとうに終わっていましたが、私の秋が終わったのでした。秋が終わると冬が降りてきました。そう確信したのは落ち葉が螺旋階段を昇っていくのを見てしまったからです。視界の端からぱりぱりとした血液の通っていない落ち葉が舞うと、風に吹かれて皆が同じ方向へ流れていました。あのような光景をひと昔、何年前だったでしょうか、渋谷のスクランブル交差点で見たことがあります。何処かそれは寂し気でありました。皆あしばやにせわしなく、のっぺりと血の抜けたような顔であの落ち葉のように進んでいたのでした。
落ち葉たちはきっと冬がやれそれと引っ越してくるので急いでいるのです。降りたり昇ったり、ゆらゆらしゃらしゃら、きっと急いでいるのでしょう。道路脇に集められた落ち葉を眺めていると、ああ今年も秋が終わったのだと私は確信するのです。落ち葉が壊れてしまわないように、私はそれを手のひらにそっとのせて冬の空を見上げて言いました。君たちがもう少しだけ遅く来てくれれば、秋はこんなにも急がなくて良いのでしょう。暑い夏と寒い冬に挟まれて、何だかどっちつかずな季節と言われ、枯れて落ちる寸前の
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