想望手記

小学5年生で統合失調症を発症しました。このブログでは症状や体験談に加えて、精神障害者の生活をリアルタイムに発信しています。記事の内容が誰かの役にたってくれたら嬉しいです。

想望手記

はじめてのおつかいは虐待ではなく

 『はじめてのおつかい』という番組をご存知でしょうか。私が熱心にテレビを見ていた頃(90年代)の人気番組で、今でも放送されているのかはわかないのですが、当時、この番組を見ながらよく涙がほろりとしていました。挑戦する子供は素晴らしいのだと、そのような話を飲み会の席でしていた時、「あれって虐待だよね」という人が割って入ってきて、場の雰囲気がヒートアップしたことがありました。

 

 熱い口論になったのは私ではなく、同席していた"私が子供の頃は、おつかいなんて当たり前派"の奥様と、"子供に重い荷物を持たせたり、長い距離を歩かせるのは虐待派"の奥様のお二方でした。※四天王レベルの二人です。

 親としてあんなものは教育の範囲内、大人がついてるんだから良いという肯定派に対して、そもそもあの番組は何かと視聴者を泣かせようとする感動ポルノで安っぽい、海外の人達も虐待と言っていて、日本は狂っていると思われている、前提として子供に何かを強制させるのは良くないし、あれは完全なる親のエゴ、おつかいに行った子供と自分の子供を比べてしまう等、二人のやり取りを私はうんざりしながら聞いていました。しかし、話を聞いている内に、私はその論点にすら立っていないことがわかったのです。

 

 私は一応肯定派なのですが、はじめてのおつかいを観る時は親側の視点ではなく、子供たちの視点でいつも観ていました。自分が子供だったら絶対わくわくするだろうし、何やらアトラクションみたいで、きっと楽しいのではないかなと感じていたのです。

 親としてとか、教育としてとか、番組としてとか、そういうのではなくて、大人たちが集まって考え抜いて、安全が約束された舞台で、子供たちが未知なる世界へ挑戦できて、その大冒険に自分の子供時代を投影して、思わず涙がほろっとなっていたのです。

 それらを企画している人達は、本当に素晴らしいと思いますし、未来を担っていく子どもたちに、多くの経験をさせてあげるべきだと、私はいつも陰ながらに想っております。その過程で、どれだけの安全を考慮しても、いつか悲しい事故が起こってしまうかもしれないけど、挑戦したいと思う気持ちや機会を奪わないでほしいと願っています。そして私もいつか、何かほんの少しでも出来ることはないだろうかと考えていました。

 

 結局、この四天王のお二人は、共通した嫌いなおじいさん(結構偉い人)の話にシフトして、やいのやいのと盛り上がっていました。決して平和ではないけど、なんだか楽しそうな様子でした。

 

 最後まで読んでくれてありがとうございました。ちなみに、私がはじめてのおつかいを頼まれたのは、祖母と母のタバコとライターだったそうです(母から聞いたことがあります)。あの時はいつもより坂道が長く感じて、目に映る景色は、何処か低く感じたような気がします。それでは又。