想望手記

小学5年生で統合失調症を発症しました。このブログでは症状や体験談に加えて、精神障害者の生活をリアルタイムに発信しています。記事の内容が誰かの役にたってくれたら嬉しいです。

想望手記

結局どういう話なんですか

 初めて行った観光地で、お昼ご飯を食べた時のことです。私はその日、年下の知り合い(以下、A君)と観光地に来ていました。数日前、どうしても行ってみたいから良ければ連れて行ってほしいとA君に頼まれて、私もその場所には少し興味がありましたので、今週末にでも一緒に行きましょうかという経緯でした。

 

 一通り観光を終えると、時計の針は正午前を指していました。お腹もいい具合に空いていたので、昼食をとってから帰ろうという話になり、駅前のコインパーキングに駐車しようと探索していたら、「ちょっと店検索してるんで車停めるの待ってもらえます?」と言われたので、「駅前は栄えているみたいですし、ぶらりと歩いて適当に入りましょう」と答えたのです。

 すると、「タイパ悪いですよ、それ」と呆れたような声を出したので、たい焼きパーティーの話はしていないと思いながら(そもそもわたくし、たい焼きより大判焼き派なんですけども)、道路脇にハザードランプをたいて停車しました。それからしばらくすると、「行きたい店が見つかったのでナビします」と言われたので、私はそのナビ通りに国道に向けて発進しました。

 

 10分くらい経ったでしょうか。ゆっくりと車を走らせて着いた場所は、私がよく知っている味のチェーン店でした。ぽかんとして入った店内に座り、これ美味しいですよねと言いながら、見慣れた定食を頬張っているA君を見ていると、ジェネレーションギャップを感じてしまい、私はどうにも落ち込んでしまったのです。

 先に定食を食べ終わったA君は、最近、太宰治の"人間失格"を読んだという話をし始めました。ああこれは多分、私が読書好きなのを知っていて、そういった話題を振ってくれたのかなと思うと、少しばかり嬉しくなって、色々と掘り下げてお話できそうかなと思っていたら。

 

 「動画で読んだんですけど、たしかになんかエモい気するんですけど、主人公とかぱっとしなくて、それ説明してる人も声だけでかくて、途中で見るのやめたんですよね」

 「え……?」

 「結局、どういう話なんですか、あれ」

 

 どういう……と言われても、こういう時になんと答えたら良かったのでしょうか。私にはツッコミどころ情報量が多すぎて、完全に思考が停止していました。「作品の感じ方は、人それぞれだから……」と絞り出すような声で伝えて、そうなんですねと素っ気なく言うA君とこの日、どうにか旅を終えたのでした。

 

 私はのんびりがいいみたいです。駅前をぶらりと歩いたり、作品をゆっくりと読み解いたり、その行動がどれだけ非効率でも、たとえ時代にそぐわなくても、時間のかかることを時間をかけてしたいのです。おそらく懐古ではなく、これは性分です。人から変な風に見られたとしても、自分らしく在りたいと思うのです。

 

 最後まで読んでくれてありがとうございました。ひとまわりも年齢が違うと、感覚の違いが多くてしょんぼりでした。でも、同世代でもまったく合わない人がいるので、それもまた人それぞれですよね。それでは又。