想望手記

統合失調症と共に日々を生きていくブログです。中原中也さん他、近代詩の朗読も配信しています。

想望手記

拾われる言葉

 喧騒や雑踏の中から"クズ"とか"カス"といった言葉を勝手に拾ってきます。その音がどれだけ小さくても私の耳には入ってくるのです。自分が言われているわけでもないのに見知らぬ声や文字が大きくなって私を殺そうとするのでした。そういう時に辺りを見渡すと皆はてんで何もないといった表情で私を横目に見ています。いつもそうでした。恐らくこれは私だけが発症する感染症か何かなのだろうと納得する他はないのでした。

 このような不安や恐怖という感情は、私を檻の中に閉じ込めて守ってはくれるのですが、嵐が過ぎて檻の扉が開くといつも決まって私だけが浦島太郎ように歳をとっていないのです。それはもう嫌だと扉をこじ開けて飛び出すと、私の皮膚は真っ赤に焼けただれてぽろぽろと剥がれ落ちてしまうのでした。何故でしょうか。私の皮膚がもっと厚ければ無為の紫外線に耐えることも出来るのでしょうか。

 この傷は消えてはなくならないかもしれないけれど、檻の中にいる時間を出来るだけ短くして歩んでいきたいです。最後まで読んでくれてありがとうございました。日傘を差してくれてありがとう。それでは又。