智恵子は東京に空が無いといふ、
ほんとの空が見たいといふ。
私は驚いて空を見る。
桜若葉の間に在るのは、
切つても切れない
むかしなじみのきれいな空だ。
どんよりけむる地平のぼかしは
うすもも色の朝のしめりだ。
智恵子は遠くを見ながら言ふ。
阿多多羅山の山の上に
毎日出てゐる青い空が
智恵子のほんとの空だといふ。
あどけない空の話である。
高村光太郎さんの「あどけない話」を朗読しました。詩集、智恵子抄の中でも特に印象深い詩です。絶対的な愛というのは、時代をこえても感じ取れるものだと私は思っています。光太郎さんの悲しみや戸惑い、智恵子さんのあどけなさも、その一切は、悠久に色褪せることはありません。
今回の朗読はとても緊張しました。マイクに向かって朗読をし始めたは良いものの、声が震えてしまって、最初はなかなか上手くいきませんでした。そうして何度か挑戦している内に、こみ上げてくる哀情にも押し潰されていたのです。想いを込めて大切に朗読しました。ご視聴いただけると嬉しいです。私の感じたままをお伝えできれば幸いです。最後まで読んでくれてありがとうございました。それではまた。
高村光太郎とは
高村光太郎は、日本の詩人・歌人・彫刻家・画家。本名は高村光太郎。父は彫刻家の高村光雲。日本を代表する彫刻家であり画家でもあったが、今日にあって『道程』『智恵子抄』などの詩集が著名で、教科書にも多く作品が掲載されており、日本文学史上、近現代を代表する詩人として位置づけられる。
出生地: 下谷区
生年月日: 1883年3月13日
死亡日: 1956年4月2日, 東京都 中野区
配偶者: 高村智恵子 (1914年 - 1938年)
両親: 高村光雲
学歴: 東京藝術大学、 ザ アート スチューデンツ リーグ オブ ニューヨーク
「高村光太郎 - ウィキペディア」より引用