光る地面に竹が生え、
青竹が生え、
地下には竹の根が生え、
根がしだいにほそらみ、
根の先より繊毛が生え、
かすかにけぶる繊毛が生え、
かすかにふるえ。
かたき地面に竹が生え、
地上にするどく竹が生え、
まつしぐらに竹が生え、
凍れる節節りんりんと、
青空のもとに竹が生え、
竹、竹、竹が生え。
○
みよすべての罪はしるされたり、
されどすべては我にあらざりき、
まことにわれに現はれしは、
かげなき青き炎の幻影のみ、
雪の上に消えさる哀傷の幽霊のみ、
ああかかる日のせつなる懺悔をも何かせむ、
すべては青きほのほの幻影のみ。
萩原朔太郎さんの「竹」を朗読しました。この詩は以前朗読した「悲しい月夜」と同じ詩集、月に吠えるに収められています。竹という真っ直ぐで強く、神々しさすら感じる植物に対して、朔太郎さんは何を重ね描いたのでしょうか。青き炎の幻影とは一体、どのようなものであるのでしょうか。私はこの詩からも超近代級の絶望を感じました。
ご視聴いただけると嬉しいです。最後まで読んでくれてありがとうございました。それではまた。
萩原朔太郎とは
萩原 朔太郎は、日本の詩人。大正時代に近代詩の新しい地平を拓き「日本近代詩の父」と称される。
出生地: 北曲輪町
生年月日: 1886年11月1日
死亡日: 1942年5月11日, 東京都 東京 代田
配偶者: 上田稲子 (1919年 - 1929年)
孫: 萩原朔美
子女: 萩原葉子