想望手記

朗読家丨国立和歩のブログです。中原中也、高村光太郎等、近代詩の朗読を配信しています。

想望手記

雨ニモマケズ - 宮沢賢治|朗読

雨ニモマケズ

 

雨にも負けず

風にも負けず

雪にも夏の暑さにも負けぬ

丈夫な体をもち

欲は無く

決して怒らず

いつも静かに笑っている

一日に玄米四合と

味噌と少しの野菜を食べ

あらゆることを

自分を勘定に入れずに

よく見聞きしわかり

そして忘れず

野原の松の林の陰の

小さな萱ぶきの小屋にいて

東に病気の子供あれば

行って看病してやり

西に疲れた母あれば

行ってその稲の束を負い

南に死にそうな人あれば

行って怖がらなくてもいいと言い

北に喧嘩や訴訟があれば

つまらないからやめろと言い

日照りの時は涙を流し

寒さの夏はおろおろ歩き

みんなにでくのぼーと呼ばれ

褒められもせず

苦にもされず

そういうものに

わたしはなりたい

 嬉しいことがありました。それはウォーキング中にカルガモを見れたことでした。私は足を止めることなくその光景を眺めていました。それがどうにも幸せで仕方なくって、帽子をぐいっとまくって太陽を拝みました。その日差しは春のようでありました。

 ふと時計を見ると十時ぴったりでしたので、それもまた幸運だと思い嬉しくなり、なんとも笑顔の多いウォーキングになったのです。

 人間は、そういう日があるから立っていられるのです。幸運の日が全くないと誰もが座り込んで動けなくなります。人づてに、幸運は皆平等に与えられると聞いたことがありますが、はたしてそれは本当に本当なのでしょうか。

 私はあまり幸福の思い出がなく、嫌なことばかりを思い出してしまうので、私のそれは平等などではなかったと闇雲に信じているのですが、実際はもしかしたら本当に平等だったのかもしれません。故に私は幸福を分けられる人になりたいと願ってやまないのです。

 今日、宮沢賢治さんの「雨ニモマケズ」を朗読しました。読みながら心が温もりましたが、それと同時に、幸福だの不幸だの考えていた自分が恥ずかしくなりました。そういうものに、わたしもなりたい。最後まで読んでくれてありがとうございました。それではまた。

 

宮沢賢治とは

宮沢賢治は、日本の詩人、童話作家。仏教信仰と農民生活に根ざした創作を行った。作品中に登場する架空の理想郷に、郷里の岩手県をモチーフとしてイーハトーヴと名付けたことで知られる。
生年月日: 1896年8月27日
出生地: 岩手県 花巻市
死亡日: 1933年9月21日, 花巻町
影響を与えた人: 萩原朔太郎、 ハンス・クリスチャン・アンデルセン、 山村暮鳥
学歴: 盛岡高等農林学校

宮沢賢治 - ウィキペディア」より引用