想望手記

国立和歩のブログです。中原中也、高村光太郎等、近代詩の朗読も配信しています。

想望手記

光と影を統べる強さ

 映画「ハリー・ポッターと賢者の石」を観ました。こちらの映画は以前、金曜ロードショーでチラッとみただけでしたので、この度は珈琲と素焼き大豆をお供に、部屋の照明を落としてから再生しました。そして、私はすぐにハリー・ポッターの世界へと引き込まれていきました。

 私の中で魔法世界というと、真っ先に浮かんでくるのが魔女の宅急便でした。子供の頃、竹ボウキにまたがって「飛べっ!」という訓練をした私には、この映画の世界観は余白のないどセンターの作品だったのです。童話の中に出てくるような美しいお城、神秘的で物静かな森の中、広大で創り込まれた世界観は圧巻でした。木の杖やホウキが欲しくなりました。

 ただ、魔法というのは元来、日々の生活のためだったり、何かを便利に使うためだったり、困っている人に薬を作ったりと、そのようなイメージが強かったのですが、この物語の魔法はとても強大な魔力で描かれていました。飛んでいる人を空から落とそうとしたり、人を石に変えて粉々に砕いたり、その残酷な場面を観て色々と思うことがありました。

 たしかに物事の良い部分や、綺麗な所だけを見るのは簡単です。その先を想像しなければ良いからです。例えばドラゴンクエストの炎の魔法「メラ」は、敵1体に火の玉が飛んでいく単体魔法です。それを詠唱すると魔法エフェクトが出て、敵に何ダメージを与えたかが表示されるだけです。だから私は何の迷いもなくメラの呪文を唱えていました。しかし火の玉が飛んでいって、敵が炎に包まれて叫び声をあげたり、ひどく火傷のあとがついたりすると、私は恐らくメラを使うことが出来なかったと思うのです。

 そういった意味で、私は魔法の怖い部分を想像せずに、無意識にそれを避けてきたのかもしれません。今回、ハリー・ポッターと賢者の石を最後まで観て、魔法を正しく理解できたことに加えて、新しい世界の扉が開いたような感覚がありました。原作者に感謝すると共に、これからはしっかりと物事を見つめて生きていこうと思いました。目を逸らさないというのは、痛みと強さを伴うものだと解釈しました。

 ネタバレは一切しません。私と同じように魔女の宅急便だったり、ドラゴンクエストの物語が好きであればオススメしたい作品でした。私はこれから原作を読んだり、映画の続編を観て、魔法ワールドを堪能しようと思っています。ロード・オブ・ザ・リングもとても気になっています。最後まで読んでくれてありがとうございました。ハリー・ポッターとの出会いは偶然でした。私はその贈り物に心よりお礼申し上げます。教えてくれてありがとう。それでは又。