想望手記

小学5年生で統合失調症を発症しました。このブログでは症状や体験談に加えて、精神障害者の生活をリアルタイムに発信しています。記事の内容が誰かの役にたってくれたら嬉しいです。

想望手記

深淵をもつスマホ

 「もし私が突然死したら、このスマホを叩き割ってほしい」と、真剣な顔で言う婦人の遺言を預かった午後、あのスマホの中には一体、どのような深淵が住んでいるのだろうと震え上っていました。

 婦人の最期の時、もし私がスマホを手にしたのなら、「うぅ……これ、婦人のスマホです」と、中身を全消去して(ロックしてある場合は手刀で)お渡しするでしょう。婦人の痴情は正直どうでも良いのですが、深淵を覗かされる旦那様の気持ちを考えると、やはり闇に葬っておくのが正しい気がしました。

 

 そもそも、見られてはいけないものを持ち歩きながら生活するなんて、恐ろしくはないのでしょうか。私はスマホにもパソコンにもやましいことはありませんし、清く正しく元気なく生きている人間なので、何を見られても大丈夫なのですよと、そのような話を婦人にすると、「じゃ、見せてよ」と言うので、私は勇んで婦人にスマホを渡しました。

 その数十秒後、婦人が震える声で「この検索履歴にある……"立花みかん お風呂上がり"ってなに……?」と質問してきたので、あた◯ンちのみかんだと答えたら、「あんたが死んだら私がこれ叩き割ってやるわ」と、とんでもないことを言い始めたのです。

 別にこの検索履歴を未来の細君に見られても、「みんな通る道だよねー」くらいにしか思われないし、国民的アニメなので引かれないと思うのですが、目の前の婦人は苦虫を噛み潰したような顔になっていて、何だかとても申し訳ないことをした気持ちになりました。その後、お互いに叩き割ろうねと、話の折り合いがついた昼下がりでした。

 

 この話の流れを友人に説明すると、「多分それ、ザザエさんの"うきえさん お風呂上がり"と同じかもしれん」と言われて、それはドン引くかもしれないと大いに納得しました。最後まで読んでくれてありがとうございました。私、割ってもらいます。それでは又。