想望手記

統合失調症と共に日々を生きていくブログです。中原中也さん他、近代詩の朗読も配信しています。

想望手記

統合失調症

統合失調症の当事者による体験談や思想を記事にしています。発症原因や症状例等、私と同じように精神疾患と闘っている人の参考になれば嬉しいです。

記憶のフィルム

バブル時代にタイムスリップしたようなカクテルバーがありました。通りに出ている看板といえばぼろぼろで薄暗く、まるで見つけてほしくないような位置にあり、薄暗い路地に入って木製の重いを扉を開けると、モダンな雰囲気の素敵空間が広がっていました。 70…

ガスコンロが消えた日

私の家にはガスコンロというものがありません。いえ、決して電気式というわけではなく、引っ越してきた当初は当たり前にガスコンロを取り付けていたのですが、現在は取り外して押入れの奥深くに眠っている状態なのです。このことは生活する上で一見不便に思…

Xジェンダーの名前と容姿

病院で待っていると、誰であってもフルネームで呼ばれます。それは至極当然のことなのですが、私にとってはそれが苦痛になりました。いえ、待合室に一人で居る時にそう呼ばれるのは別に構いません。しかし大勢が待っている中で呼ばれると、呼んだ本人も周り…

許されない空気感

私は小学五年生の秋から学校という一切に行けなくなりました。なので、私の最終学歴は小学校除籍という形になっています。小学校の卒業式は当然ながら出席できませんでしたし、中学校の入学式にも行くことはありませんでした。その後、図書館や本屋さん、動…

泥沼の底から

ブログを始めて一年が経ちました。それとユーチューブを始めてもうすぐ一年になります。たまにはこのブログに書き殴ってみようと思います。いつもはそれなりに文章の構成を考えたりもするのですが、今日はそうしないつもりなので読み難い箇所が多々あるとは…

ニュースを見なくなってから

報道番組やニュースサイトを見るのをやめてしばらくが経ちました。この記事を書いている現在、生活からニュースが無くなっても特にこれといって困ることはなく平穏な毎日を送っています。怒りや悲しみ、嘆き、失望、嫌悪といったマイナスの感情が消え去って…

森の妖精

私は自然が好きでよく森の中を歩いています。そして森には妖精が住んでいると信じています。その妖精には一度も会ったことがないのだけど、ただ一度も存在を疑ったことはありません。もしかしたら小人やドワーフも住んでいるのかもしれません。もっと言えば…

ひまわりの花言葉

片思いをしている時と、食堂でホルモン定食を待っている時の気分はとてもよく似ています。片思いが両思いに変わればどこか不安になるように、大好きな料理が眼の前に差し出されてしまうと何とも言えない寂しさを感じてしまうのです。それは世界の終わりを嫌…

AIと朗読

YouTubeの世界をぼんやりと回遊していたら、合成音声で朗読している動画を偶然見つけました。興味本位で再生してみればいつの間にか最後まで見入っていました。NHKのAIニュースキャスターの技術も加えて、時代はついにここまで来たのかと感心するばかりです…

輪の中にさえいれば

楽しい時間を過ごしていると、突然恐ろしくなる瞬間があります。そういう時は雷にでも打たれたように一切の思考が停止してしまいます。そうして動けなくなった私のもとへ、先程と何ら変わらない喜びがおし寄せてくるのでした。 私が子供の頃、とある歌詞で"…

振り上げた手は

こうして窓から外の景色を眺めていると、都会の喧騒の中で過ごしていた頃を思い出します。あの頃の私といえば家から出ることを恐れ、人もまばらの深夜にならないと食料品店にすら行けなかったのですから、それはもうある種の引きこもりでありました。私はそ…

知る知らん事々

あれはいつの事でしたか、はっきりとは覚えていないのです。 15歳の私は都会の商店街を歩いていました。すれ違う大人からはお酒の匂いや香水のツンとした香りがして、天の川銀河のようなネオンの光は何も持たない私の心を高揚させていました。この場所は私が…

森人の安寧

――或る日の森の中。 囁くような風が吹くと、見上げる樹々はしゃりしゃりと揺れて、青葉の隙間から温かい陽が差し込んできました。そして小鳥たちの声が森に調和すると、僅かに果物の匂いが一面を覆ったのでした。 この森は数多の生命で溢れています。植物も…

トレジャーハンター

私はネットサーフィンが好きです。マウスを片手に気がつくと30分以上も経過していてびっくりすることがあります。インターネットは調べ物をするのに便利ですし、未知なる探索という大冒険が待っている場所でもあるのです。それは広大な電子の海の中からダイ…

才無き性質

久しぶりに物語を創作をしてみようと思い立って、パソコンのモニターとにらめっこをしているのですが、書いては消しての繰り返しで真っ白しろすけの有様です。そもそも私は詩のひとつも形に出来ないのに、物語なんて書けるのかと問われてしまいそうですが、…

勇気と選択

美容室の匂いが好きです。私の通っている美容室は良い匂いがいっぱいします。その場所は職人さんみたいな男性が一人で経営していて、私はこの美容師さんに髪の一切をお任せしています。 昨日は前髪を重めに作ってもらい、ミディアムロングになった後ろ髪を整…

貝殻と竜宮城

夕暮れの浜辺にて。私がその少年に心を奪われたのは一刻の出来事でした。缶コーヒーを片手にぼんやりと海を眺めていると、何かを拾っては波に向かって投げている少年がいました。最初はそれほど気になりませんでしたが、あまりにも長い間そうしているので声…

空想を信じるのは

少年の頃、祖父に買ってもらった仮面ライダーベルトを使って変身できたのは、自分を改造人間だと信じていたからでした。しかし私が何かを信じれば信じているほど人様は不思議な顔をして、その行動は間違いとして閉じられるのです。透明な人達に何かを言われ…

世界の裏側へ

空が剥がれて山には錆が浮き、川が逆さま映る日があります。それは何もない世界が存在しているからです。突然に音もなく私を侵食して気の滅入る場所へと誘(いざな)おうとしているのです。何もない世界というのは特別に恐ろしくていつまで経っても慣れませ…

沈黙の主張

空気のように存在していれば厄介事に巻き込まれることはない。そう思っていた時期がありましたが社会というものに溶け込むとそれが一変しました。私は自己を主張をせずに就業規則を厳守し、言われたことを機械のように黙々とやっていたのです。 毎日が同じよ…

空白の大都会

カーテンを開けると灰色の空が映っていました。責任のない風たちは木々を揺らして、ひゅうひゅうと音を立てて走り過ぎていきます。薄墨の日。あれは笑ってもいないし、ましてや怒ってなどなく、少しばかりの悲しみを含みながらじっと私を見つめているのでし…

世界の終わりと始まり

私がそのお声を知ったのは、cluster(クラスター)という仮想空間でのことでした。パソコンにソフトをインストールをしたばかりで、ヴァーチャルリアリティやメタバースなんて右も左も分からない時でした。 ロビーで迷子になっていた私の耳に不意にきこえて…

同じ型の刻印

いつも雨が降っています。なんてあまりに物哀しく言うものだから、私は降りそそぐ雪片を思わず手の平で受け止めたのです。それはあまりにも小さく繊細であり、時折冬の星座のように綺羅びやかに輝いていました。たとえこの結晶が溶け出しても頬を伝ったりは…

それを空と知りながら

キッチンはいつも同じ色をしているから好きです。しかしシンクに熱いものを置いてしまうと、たちまち火傷してしまう感覚が皮膚全体に伝わってきて、それはもう全身に鳥肌が立ってしまうので、あらかじめ水を流してから置くようにしています。そうしないとシ…

月のゆりかご

長らく降り続いていた雨が止みました。その雨は私の泥を洗い流してくれましたが、私までは洗い流してはくれませんでした。私は赤黒い塊を見つめながら冷たい温もりのある頃を思い出していました。そうしていると焼け焦げた笑顔が灰のように崩れていきました…

拾われる言葉

喧騒や雑踏の中から"クズ"とか"カス"といった言葉を勝手に拾ってきます。その音がどれだけ小さくても私の耳には入ってくるのです。自分が言われているわけでもないのに見知らぬ声や文字が大きくなって私を殺そうとするのでした。そういう時に辺りを見渡すと…

部活と水と体罰と

食べ物はよく噛んで食べるのが体に良いらしいと聞いたので、いつも以上にもぐもぐとしていたら下唇まで噛んでしまい当たり前に喋れなくなりました。その後ソースや熱いものを食べる度に悶絶しています。どうして私はこんなに鈍くさいのだと自分に対してがっ…

光と影を統べる強さ

映画「ハリー・ポッターと賢者の石」を観ました。こちらの映画は以前金曜ロードショーでチラッとみただけでしたので、この度は珈琲と素焼き大豆をお供に部屋の照明を落としてから再生したのです。そして私はすぐにハリー・ポッターの世界へと引き込まれてい…

一つだけのメニュー

ついこの間、耳栓を買いました。元々ヘッドフォンタイプの耳栓(イアーマフ)は持ってたのですが、これよりももっと外からの音を遮断できないかなという理由です。この耳に押し込むタイプの耳栓をつけてからヘッドフォン型の耳栓をかぶせてみるとそれは驚き…

配られなかった台本

ひらがなとカタカナを覚えたのはいつ頃のことだったでしょうか。ヒノキの香りに断片的な陽の光。私はそのセピア色の書斎で祖父に教えてもらった文字を使い、他愛もない文章を不器用に描いていました。規則的な振り子の足音をききながら、祖父の大きな椅子に…