想望手記

小学5年生で統合失調症を発症しました。このブログでは症状や体験談に加えて、精神障害者の生活をリアルタイムに発信しています。記事の内容が誰かの役にたってくれたら嬉しいです。

想望手記

散文

ありがとうって伝えたい

小学校の頃の帰り道、私はよく怒られていました。禁止されていた寄り道や、買い食いをして見つかることが多くありました。田舎町故か、地域の目というのが厳しくて、その地域の大人全体で、子供たちを育てていくといった方針だったようです。 学校で先生に怒…

特技は掃除と自信を持って

私は掃除が大好きです。それは、部屋のホコリを取る掃除から始まり、トイレ掃除をして、お風呂掃除をして、窓の拭き掃除まで終わると、また部屋のホコリが気になったりして、放っておくと、いつまでも掃除をしているくらいには大好きなのです。 しかし、掃除…

秒針が壊れるその日まで

私は、統合失調症を発症してから投薬開始までの記憶がほとんどありません。このブログの体験記に書いてある所々の出来事は、わずかながらに覚えていましたが、薬を飲み始めるまでの20年間の出来事が、A4用紙一枚程度で書けるくらいしか思い出せないのです。 …

じゅうじゅうにしてあること

幾何学を"いくなんがく"と読み、認印を"にんにん"と読んでいた私も、今では大分漢字が読めるようになってきました(このだいぶという漢字が、"おおいた"と被ってしまい、不安になる気持ちを理解できる方はいらっしゃいますでしょうか……)。 私は、社会と繋が…

はじめてのおつかいは虐待ではなく

『はじめてのおつかい』という番組をご存知でしょうか。私が熱心にテレビを見ていた頃(90年代)の人気番組で、今でも放送されているのかはわかないのですが、当時、この番組を見ながらよく涙がほろりとしていました。挑戦する子供は素晴らしいのだと、その…

ズレていることの悲しさ

自分が不利になるのは構わないのです。しかし、誰かのそういう場面を目撃してしまうと、私はひどく苦しくなってしまいます。なので、極力そういったことに遭遇をしないように、最新の注意を払っているのですが、偶然の前には為す術がないのでした。 チームワ…

結局どういう話なんですか

初めて行った観光地で、お昼ご飯を食べた時のことです。私はその日、年下の知り合い(以下、A君)と観光地に来ていました。数日前、どうしても行ってみたいから良ければ連れて行ってほしいとA君に頼まれて、私もその場所には少し興味がありましたので、今週…

ハイカラさんが凍りつく

一昔前にタピオカが流行った頃、私はそのよくわからない飲み物に、全くといっていいほど興味を持ちませんでした。何か黒いものがつぶつぶしているし、あのようなハイカラ且つ未知なるものは、女学生やらが飲んで楽しむものであり、私にはこの古女房のような…

障害者のコミュニティスペース

自らの命を断とうと思ったことはありますか? 少し前に、そのような質問をされたことがあります。質問者は私と同じ精神障害者の方で、とあるチャットコミュニティ内での会話でした。 思い返してみると、私はこれまで、自分の体を傷つけたことがありませんで…

屋根のなかった家で

当時、引きこもりだった私は、15歳の時に上京しました。小学5年生から不登校になり、それからずっと家の外には一歩も出ていなかったのに、私はこの日、テレビでしか見たことのない都会を目指して、初めて乗る電車に揺られていました。 上京した理由をよく覚…

私たちの魂の行方

先日、何気なくクリックした他記事の後半で、同じ統合失調症である青葉真司被告(京都アニメーション放火殺人事件の被告人。以下被告)について書かれているものを目にしました。その記事は、裁判の様子や被告の生い立ちついて詳しく書かれていました。 被告…

忘れないで居てくれるなら

インターネットサーフィンをしていると、稀にタイムスリップしたようなウェブサイトに辿り着くことがあります。それは、装飾のないシンプルなデザインで、画像などはほとんど使用されていません。そのようなテキストで埋め尽くされたホームページを見つける…

もしかしたらあの人が

私の住んでいる町には、町内放送があります。それは役場からのお知らせだったり、公民館からのお知らせだったりするのですが、町内で起こった事件の詳細も教えてくれるのです。 例えば、「今はこういう詐欺事件があるから、皆さん気をつけましょうね」等、何…

白ごはんオムライス

先日、とある中華料理店で天津飯(てんしんはん)をいただきました。よく知っている味の油淋鶏(ゆーりんちー)を食べようとして入店したものの、メニューの中にちらりと見えている、控えめにプリントされた天津飯に、何故か心惹かれてしまい、たまには冒険…

自分らしく在ること

私が洗車をすると、高確率で雨が降ってきます。それはどれだけ晴れている日に車を洗っても、待ってましたと言わんばかりに、雨雲たちは押し寄せてくるのです。 この話を誰かにすると、「洗車日を事前に教えて」と脅されるのですが、私は今まで、自分が洗車す…

横書きで読みたい人もいる

わたくし、文学作品は縦書きしか認めていませんの。横書きの文学なんてナンセンスですわ。みたいな人がいたら、私はその方から少しずつ、フェードアウトしたい衝動に駆られます。多様性を求められる今の時代、何でもかんでも認めてしまえとも思わないのです…

変わらない買い物

私のお気に入りの商店街には、多くのお店が連なっています。豆腐屋さん、八百屋さん、雑貨屋さん、洋服屋さん、電気屋さん、それはもう選り取り見取りなのですが、どのお店も営業していないので、シャッターに書かれている文字や、古びた看板でしか確認出来…

読書感想文が書けなくて

私はプロフィールに書いてある通り、本を読むことが趣味です。いつも何かに栞を挟んでいます。これといったジャンル決めはなく、面白そうと感じた本は何でも読みます。なので、今まで読んだ本の感想等を記事にしてみようかなと、思うこともあったのですが、…

不器用とロマンス

飲み会の席でこんなやり取りがありました。何かの会話の流れで、「私は香水を一切つけないのです」という話になった時に、「私もつけなくなったんだよね」という奥様がおられました。私は興味本位で、何故香水の使用をやめてしまったのかと問いました。 する…

我がルールには竹槍を

我が国立家は、よくわからないルールが蔓延しています。例えば、リモコンを置く場所に細かい指定がありますし、お風呂に入ればマニュアル通りに体を清めないと閉じ込められます。洗濯物を干す際には、洗濯バサミの群れにすら、各々役割があったりもするので…

ガスコンロが消えた日

私の家には、ガスコンロというものがありません。いえ、決して電気式というわけではなく、引っ越してきた当初は、当たり前にガスコンロを取り付けていたのですが、現在は取り外して、押入れの奥深くに眠っている状態なのです。 このことは、生活する上で一見…

Xジェンダーについて

病院の待合室に座っていると、誰であってもフルネームで呼ばれます。それは至極当然のことなのですが、私にとってはそれが嫌で嫌で仕方がありませんでした。いえ、待合室に一人ぼっちで居る時に、名前を呼ばれるのは構わないのです。しかし、大勢が待ってい…

許されない空気感

私は小学五年生の秋から、学校という一切に行けなくなりました。なので、私の最終学歴は小学校除籍と等しいです。小学校の卒業式は、当然ながら出席できませんでしたし、中学校の入学式にも行くことはありませんでした。その後、図書館や本屋さん、動画サイ…

ニュースを見なくなってから

報道番組やニュースサイトを見るのをやめてから、しばらくが経ちました。この記事を書いている現在、生活からニュースが無くなっても、特にこれといって困ることはなく、平穏な毎日を送っています。怒りや悲しみ、嘆き、失望、嫌悪といったマイナスの感情が…

ひまわりの花言葉

片思いをしている時と、食堂でホルモン定食を待っている時の気分は、とてもよく似ています。片思いが両思いに変わると、どこか不安になるように、大好きな料理が眼の前に差し出されてしまうと、何とも言えない寂しさを感じてしまうのです。 それは、世界の終…

朗読をアップロードするまで

この記事では拙いながら、朗読をYouTubeにアップロードするまでの過程を公開しています。素人故の明後日な思考や、遠回りな発言もあるとは思いますが、温かい目で読んでいただければ幸いです。 私が朗読を録音する時は、それまでふんわりと読み解いていた作…

輪の中にさえいれば

楽しい時間を過ごしていると、突然恐ろしくなる瞬間があります。そういう時は雷にでも打たれたように、一切の思考が停止してしまいます。そうして動けなくなった私のもとへ、先程と何ら変わらない楽しさがおし寄せてくるのでした。 私が子供の頃、とある歌詞…

振り上げた手は

こうして窓から外の景色を眺めていると、都会の喧騒の中で過ごしていた頃を思い出します。あの頃の私といえば、家から出ることを恐れ、人もまばらの深夜にならないと、食料品店にすら行けなかったのですから、それはもう完全体の引きこもりでした。私はその…

知る知らん事々

あれはいつの事でしたか、はっきりとは覚えていないのです。 10代だった私は、都会の商店街を歩いていました。すれ違う大人からは、お酒の匂いや香水のツンとした香りがして、天の川銀河のようなネオンの光は、何も持たない私の心を高揚させてくれました。こ…

森人の安寧

――或る日の森の中。 囁くような風が吹くと、見上げる樹々はしゃりしゃりと揺れて、青葉の隙間から温かい陽が差し込んできました。そして小鳥たちの声が森に調和すると、僅かに果物の匂いが一面を覆ったのです。 この森は数多の生命で溢れています。植物も、…